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神戸地方裁判所 昭和54年(わ)64号 判決 1979年4月13日

本店の所在地

兵庫県明石市大久保町字福田宮の浦一四四番地の一

法人の名称

株式会社 神栄工業所

代表者の住居

神戸市垂水区山手三丁目九番二三号

代表者の氏名

西山重美

本籍

兵庫県赤穂郡上郡町旭日乙一〇九番地

住居

神戸市垂水区山手三丁目九番二三号

会社役員

西山重美

大正一四年七月一日生

被告事件名

法人税法違反

主文

被告人株式会社神栄工業所を罰金一、五〇〇万円に、被告人西山重美を懲役一〇月に、各処する。

被告人西山重美に対し、本裁判確定の日から二年間右刑の執行を猶予する。

理由

(罪となるべき事実)

被告人株式会社神栄工業所は、兵庫県明石市大久保町字福田宮の浦一四四番地の一に本店を置き、製缶及び機械加工業を営むもの、被告人西山重美は、同社の代表取締役として業務全般を統轄しているものであるが、被告人西山重美は、右会社の業務に関し、法人税を免れようと企て、

第一  昭和五〇年一月一日から同年一二月三一日までの事業年度における実際の所得金額は二億三、四五〇万二、五二五円、これに対する法人税額は九、〇七一万二、二〇〇円であるにもかかわらず、公表経理上、売上の一部を除外するほか架空の外注費を計上するなどの不正の方法により、所得を秘匿した上、同五一年二月二七日、同市中崎一丁目六番一六号所在の明石税務署において、同署長に対し、所得金額が六、九五八万四、三五六円、これに対する法人税額が二、四七七万三、三〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もつて不正の行為により同事業年度の法人税六、五九三万八、九〇〇円を免れ、

第二  同五一年一月一日から同年一二月三一日までの事業年度における実際の所得金額は七、四〇一万七、一五六円、これに対する法人税額は二、六七四万九〇〇円であるにもかかわらず、前同様の不正手段を講じた上、同五二年二月二八日、同税務署において、同署長に対し、所得金額が三、八五八万九、六〇五円、これに対する法人税額が一、二六〇万四、五〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もつて不正の行為により同事業年度の法人税一、四一三万六、四〇〇円を免れ、

第三  同五二年一月一日から同年一二月三一日までの事業年度における実際の所得金額は八、一五四万九、二九九円、これに対する法人税額は二、九〇八万七、〇〇〇円であるにもかかわらず、前同様の不正手段を講じた上、同五三年二月二八日、同税務署において、同署長に対し、所得金額が四、二五八万一、四九八円、これに対する法人税額が一、三五三万一、二〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もつて不正の行為により同事業年度の法人税一、五五五万五、八〇〇円を免れたものである。

(証拠の標目)

判示全部の事実につき

一  被告人西山の当公判廷における供述並びに検察官に対する昭和五四年一月二二日付、同月二三日付各供述調書及び同被告人に対する大蔵事務官の昭和五三年六月一三日付、同月一五日付、同月二七日付、同年七月四日付、同年八月四日付、同年九月一二日付、同年一〇月三日付各質問てん末書並びに被告人作成の確認書

一  大蔵事務官の原田昭南に対する質門てん末書及び同人作成の確認書

一  大蔵事務官の久下悦次に対する質問てん末書

一  兵庫相互銀行垂水支店長、協和銀行垂水支店長各作成の確認書

一  被告人株式会社神栄工業所にかかる法人登記簿謄本

一  押収してある元帳三冊(昭和五四年押第一一〇号の一)

判示第一、第三の各事実につき

一  大蔵事務官の小林公平、同中畑勇に対する各質問てん末書

一  小林公平作成の確認書

判示第一の事実につき

一  桑田富士の検察官に対する供述調書

一  大蔵事務官の宇津原由一、田口昭俊、桑田富士(二通)、に対する各質問調書

一  株式会社宇津原鉄工所取締役作成の確認書

一  東洋鋼業株式会社取締役社長、石崎工業所代表者、株式会社窪田窪商店取締役社長、杉村鋼業株式会社代表取締役各作成の「取引内容照会に対する回答」と題する各書面

一  昭和五〇年度法人税確定申告書謄本

一  大蔵事務官作成の昭和五〇年度脱税額計算書及び同説明資料(損益)

判示第二の事実につき

一  大蔵事務官の被告人西山に対する昭和五三年八月二二日付質問てん末書

一  大蔵事務官の皆笹良一に対する質問てん末書

一  佐藤直右、新冷工業株式会社加古川工場長各作成の確認書

一  杉浦産業株式会社取締役社長作成の「取引内容照会に対する回答」と題する書面

一  株式会社三戸口製作所三戸口政子作成の大阪国税局宛回答

一  昭和五一年度法人税確定申告書謄本

一  大蔵事務官作成の昭和五一年度脱税額計算書及び同説明資料(損益)

判示第三の事実につき

一  大蔵事務官の山口正行、中野トシ子(昭和五三年七月二六日付)に対する各質問てん末書

一  西和雄作成の確認書

一  株式会社岡崎衡器製作所取締役社長作成の「取引内容照会に対する回答」と題する書面

一  昭和五二年度法人税確定申告書謄本

一  大蔵事務官作成の昭和五二年度脱税額計算書及び同説明資料(損益)

(法令の適用)

罰条

被告人株式会社神栄工業所につき

いずれも法人税法一六四条一項、一五九条一項

被告人西山につき

いずれも同法一五九条一項(懲役刑のみを科す)

併合罪加重

刑法四五条前段

被告人株式会社神栄工業所につき

同法四八条二項

被告人西山につき

同法四七条本文、一〇条(犯情の重い判示第一の罪の刑に法定の加重)

刑の執行猶予(被告人西山のみ)

同法二五条一項

(検察官 広田勇出席)

(裁判官 近藤道夫)

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